アクアリウム

はじめての海水魚飼育!初心者がやってみた

難しそうなイメージのある海水魚飼育ですが、意外にもやることはメダカとそんなに変わりません

カルキ抜き?水合わせ?何も知らずにメダカを水道水に入れ、一晩で死なせた超初心者だった我が家ですが、1年以上安定して海水魚やサンゴを飼育出来ています

この記事では、これから海水魚やサンゴの飼育をはじめようと考えている方向けに、超初心者の我が家が困った事を交えながら、海水魚飼育までの3ステップを解説いたします

海水魚の飼育は難しい?費用は?

1年やった感想は「思っていたより簡単」

海水魚を飼育している一般家庭は少なく、何となく難しそうなイメージがありますが、やることはメダカとそんなに変わりません

メダカなどの淡水魚と違い、海水を作る必要はありますが、海水の素を分量測って水に混ぜるだけでお料理と一緒です

海水魚や簡単なサンゴであればそこまで知識や機材も必要なく、初心者でも十分飼育可能です

メダカを水道水に入れて死なせてしまった超初心者の我が家でも、1年以上海水魚とサンゴや飼育出来ていますので、カルキ抜きを知っているそこのアナタ!おめでとうございます、我が家よりも確実に知識豊富です

費用は揃える機材による

難易度と合わせて気になるのがお金ですが、これはピンキリです

小型の30cm水槽で数万円ではじめることも出来ますし、特注の大型水槽で100万円以上かける人もいます

我が家は中型の90cm水槽でそれなりに機材を揃えて、50万円ぐらいかかりました

我が家の揃えた機材は後半でご紹介しますが、予算に応じて機材を選べば安く済ませることも出来ます

お金をかけずにはじめるなら?

・小型の30cm水槽ではじめる
・必須機材以外は買わない

はじめた後でかかるお金、いわゆるランニングコストも人によりますが、以下は必ず発生するもので数千円〜数万円はします(我が家は他にも色々かかって2万円ぐらい)

月々かかる費用は?

・光熱費
・海水の素
・餌

とことん安く済ませるなら初期費用数万円、月々数千円ぐらいはかかるイメージを持っておくといいです

難易度と費用感は何となく掴んでいただけましたでしょうか?

ここからは海水魚飼育までの3ステップを解説いたします

ステップ1「必要な物を揃える」

飼育をはじめるために最低限必要な物を解説します

水槽


(画像出典:アールズアクア公式HP)

サイズ

・規格水槽:安い、入手が容易
・特注水槽:高い、入手に時間がかかる

素材

・ガラス:安い、傷が付きにくい、割れやすい
・アクリル:高い、傷が付きやすい、割れにくい

おすすめは90cmガラス規格水槽です

60cm以下・・・入れられるお魚の数が限られる
120cm以上・・・重さが400kg以上になり床の工事が必要な可能性有

90cmは中型水槽に分類されますが、本格的な海水魚飼育が楽しめて、重さも150kg〜250kgで我が家のマンションは補強工事無しで置けました

数匹で満足!という方は90cm未満の水槽でも大丈夫ですが、水量が多い方が飼育は安定します

素材はアクリルだと傷がつきやすく高価なため、初心者にはガラスがおすすめです

ろ過装置

ろ過装置は4種類

・外掛け:水槽のフチに引っ掛けるタイプ
・上部:水槽の上に乗せるタイプ
・外部:水槽の外に置くタイプ
・オーバーフロー:ミニ水槽を持つタイプ

おすすめはオーバーフローです

水質が安定するため、海水魚飼育に最も適していると言われています

価格が高いため予算オーバーな場合は外部や上部が選択肢ですが、酸欠になりやすい、掃除がやり辛い、見た目に難有りと欠点があります

照明

照明の役割

・お魚の生活リズムを作る
・サンゴや一部の貝などのエネルギー源
・水槽を綺麗に見せる

種類

・蛍光灯
・メタハラ
・LED

おすすめはLEDです

以前はLEDで海水魚やサンゴ飼育に必要な光を出すことが難しかったため、蛍光灯とメタハラが主流でしたが、最近は太陽光に近い光を出せるフルスペクトルLEDが登場し、今はLEDが主流となっています

蛍光灯やメタハラよりも消費電力が少なく、価格もかなりお手頃になってきましたので、サンゴの色揚げにこだわる方以外はLEDがおすすめです

ウールマット

ウールマットは残餌や糞など物理的なゴミをキャッチする役割があります

形状に違いがありますので、使うろ過装置のサイズに適したものを買うか、自分でカットする必要があります

繊維の密度にも違いがあり、高密度ほど高価で性能が高いですが、目詰まりもしやすいです

何度か洗って使い回す人もいますが、我が家のおすすめは安価なものの使い捨てです

洗う手間や衛生面を考えると高頻度で新品に替える方が経済的です

ろ材


(画像出典:太平洋セメント株式会社公式HP)

ろ材はろ過の要で、お魚に有害なアンモニアを比較的無害な硝酸塩へと変えてくれる、バクテリアを住み着かせる役目があります

種類

・形状(リング、ボール、キューブ等)
・素材(セラミック、サンゴ、麦飯石等)

おすすめはパワーハウスです

セメント事業の大手「太平洋セメント株式会社」さんが販売しているろ材で水族館やアクアリウムショップにも採用されているリング状のろ材です

1年以上使っていますが、形が崩れることもなく一度も変えずに使えています

海水の素

海水を用意する手段

・海から自分で汲んでくる
・ショップで海水を購入する
・海水の素を購入して自宅で作成

おすすめはカルキ抜きも出来る海水の素です

お水に海水の素を分量を計って混ぜるだけ、とお手軽に作成出来ます

海から汲んでくる場合、予期せぬ浮遊物を自宅水槽に招き入れる可能性があり、初心者にはおすすめしません

ショップで販売されている天然海水は、海洋深層から汲み上げられることが多く自分で汲むより安全ですが、海水の素に比べ「高い、場所を取る、温度合わせがいる、長期保存出来ない」等デメリットも多いです

一方で海水に含まれる元素が海水の素で作成した海水よりも豊富で、サンゴなどが元気に育つというメリットもあります

ステップ2「水槽を立ち上げる」

必要な物が揃ったら水槽を立ち上げていきます

立ち上げ工程は大きく6つです

立ち上げ工程

1.水槽設置
2.機材設置
3.底砂投入
4.海水投入
5.空回し
6.パイロットフィッシュ投入

1.水槽設置

(画像出典:ペットバルーン公式HP)

水槽はどこにでも置けるわけではありません

水槽が置ける条件

・直射日光が当たらない
・重さに耐えられる
・水平である

まず直射日光は水温上昇、コケの増殖に繋がるため避けましょう

特に小型水槽は変化を受けやすいため注意です

次に床が重さに耐えられるかですが、建築基準法で住居は180kg/㎡は支えられるように作りなさいと定められています

ろ過方式や水槽に入れる物にもよりますが、水を入れた60cm水槽で重さが60kg前後ですので、60cm以下であれば補強工事なしで置けます

最後に水平かどうかを水平器を使って確認します


水平でない場所だと荷重が偏ってしまうため、水槽を置くキャビネットや床に負荷がかかり壊れる可能性がありますので、必ず水平かどうか確認しましょう

2.機材設置

置く場所が決まったら水槽や機材を設置していきます

水槽はキャビネットの上に置くケースが多いですが、地震で倒れないように耐震マットやジェルを挟みましょう


水槽が設置出来たら照明やろ過装置などの機材も付けていきます

3.底砂投入

機材の設置が出来たら水槽に底砂を敷いていきますが、敷く厚さには注意が必要です

底砂が厚い場合

・メリット:嫌気性バクテリアによる硝酸塩の分解が期待出来る
・デメリット:猛毒の硫化水素が発生する

嫌気性バクテリアは、ざっくり言うと水換えの手助けをしてくれます

お魚の食べ残しや糞の最終形態である硝酸塩を窒素に戻すという力があり、水換え以外で硝酸塩を取り除く助けとなりますが、底砂を厚く敷くことで硫化水素という猛毒も発生してしまいます

心配な方は3cm未満と薄く敷くことをおすすめします

底砂を敷かない水槽をベアタンクと言い、ベアタンクで管理されている方もいらっしゃいますが、不向きなお魚やデメリットもありますので、わからない内は薄く敷いておくことをおすすめします

4.海水投入

 

水道水に海水の素を混ぜて溶かします

カルキ抜き入りの海水の素じゃない場合は、カルキ抜きも必要です

溶け切ったら海水を水槽へ入れていきますが、そのまま入れると底砂が舞いますので、底砂の上にビニールを敷いて海水を入れる方もいます

5.空回し

ポンプのスイッチを入れて1週間〜1ヶ月空回しをします

この空回しにより酸素を供給してバクテリアを繁殖させますが、何日回せば繁殖するという明確な基準はありません

我が家はバクテリア付きの底砂を買い、淡水魚水槽から飼育水を取ってきたのもあり、1週間で繁殖出来ました

ゼロからの場合2週間以上は空回しして、次のステップであるパイロットフィッシュで慎重に繁殖具合を見ていきましょう

6.パイロットフィッシュ投入

ある程度空回しをしたらバクテリアが繁殖しているかどうか、パイロットフィッシュを投入してテストをします

パイロットフィッシュは餌付けが簡単で丈夫、そして300円ほどで購入出来るデバスズメダイ」や「シリキルリスズメダイ」がおすすめです

投入後毎日テスターを使って水質チェックをします


お魚の糞や残餌は、バクテリアによってアンモニア→亜硝酸塩→硝酸塩の順に分解されますが、アンモニアと亜硝酸塩は毒性が強いためゼロである必要があります

硝酸塩はお魚やサンゴの種類にもよりますが、5〜20ppmまでが望ましいです

亜硝酸塩と硝酸塩の値を1週間ほど計測し、数値が上昇しなければバクテリアが繁殖していると見ていいでしょう

これで立ち上げステップは完了です

ただ、いきなり大量のお魚を入れるより、硝酸塩の値を見ながら少しずつ数を増やしていくようにしましょう

ステップ3「立ち上げてからやる事」

立ち上げて以降飼育していく上でやる事は大きく2つ、「餌やり」「水換え」です

餌やり

海水魚飼育が上手くいくかは「水質」「混泳」そして「餌付け」です

餌付けのコツ

・決まった時間にあげる
・決まった場所からあげる
・決まった動作であげる
・複数種類あげる

決まった時間・場所・動作であげるようにすると、お魚は覚えて寄ってくるようになります

我が家は朝晩2回7時に、水槽の一番右手前から、水流ポンプを止めてからあげています

それから餌は複数種類あげるのをおすすめします

お魚によって植物性が好きだったり水面に浮くタイプの餌が食べられなかったりしますので、いくつかのタイプの違う餌を使った方がいいです

我が家は4種類使っていますが、植物性の餌がない時にキイロハギが何度か茶色に変色しました

何日か植物性の餌をたくさん与えていたら元の黄色に戻りましたが、人間と一緒で栄養バランスが大事ですね

水換え

海水魚飼育で大事な要素の一つ、「水質」を維持するために水換えは必須となります

ベルリンシステムなど水換えが不要な仕組みを作っている方もいますが、そういった特殊なケースでなければ水換えは必須です

頻度は水槽環境によって様々なので、テスターを使って硝酸塩の値が上がらない頻度で水換えをしましょう(週に1度3割換水がよく言われる目安です)

水換えのコツ

・水温と塩分濃度を水槽の水と合わせる
・底砂も掃除する

絶対にやってはいけないのが、水槽の水と違う水温の水を入れることです

真冬の水道水は冷たすぎるので、そのまま入れると水槽の水温が急激に下がる可能性がありますが、お魚にとって水温が1度変わるだけで大きな変化なので、必ず水温を合わせましょう

それから底砂の掃除も重要です

底砂の下に酸素が行き渡らないと硫化水素という猛毒が発生してしまう恐れがあります

一度の水換えで全面掃除する必要はありませんが、1/4ずつなど決めてホースで水換えと同時に掃除しましょう

掃除する際は汚れが舞いますので、なるべく汚れを吸いながら掃除するとお魚への影響が減らせます

あった方が水槽管理が楽になるもの

必須ではありませんが、あれば確実に水槽管理が楽になるものをご紹介します

プロテインスキマ―

プロテインスキマーのメリット

・水質が向上する
・酸素を供給出来る

種類

・エアリフト式
・ベンチュリー式

おすすめはベンチュリー式です(上の画像の物です)

プロテインスキマ―はメダカなどの淡水魚にはない海水魚専用機材で、泡を発生させて汚れを濾し取り水質の向上に役立ちますが、ベンチュリー式はその性能が高いです

泡の発生時に酸素を水中に含ませることが出来るため、溶存酸素量を増やす効果もあり、酸素が不足しがちな外部式のろ過装置とは特に相性がいいです

いくつか種類がありますが主流はベンチュリー式とエアリフト式で、エアリフト式は水槽の縁に引っ掛けるタイプの主に30cmなどの小型水槽向けの安価なスキマ―です

ウッドストーンという消耗品を交換する必要もあり、ランニングコストがかかるのもデメリットです

ベンチュリー式は洗うだけでいいため、消耗品の交換なども基本はありません

水流ポンプ

水流ポンプの違い

・パワー
・機能

我が家はレッドシーさんのファンタスティックウェーブを使っていますが、とても強力でおすすめです

水流ポンプを選ぶ際に一番大事なのは、水槽に適したパワーがあるかどうかです

パワーが弱いポンプだと水槽内に水流がない淀みが発生してしまいますし、逆に強すぎるとお魚やサンゴにとってストレスになってしまいますので、メーカーの推奨水槽サイズを確認して購入しましょう

パワーに加えて、水流ポンプには色々な機能が付いています

水流ポンプの機能

・給餌中に止める「フィードモード」
・夜間波を穏やかにする「ナイトモード」
・波の強さや向きを変える

水流は一定の強さや向きよりも、変化がある方が望ましいため、自動で強さを変えたり向きを変えたりする水流ポンプがありますが、機能が増えるほど高価になります

殺菌灯

殺菌灯のメリット

・菌を紫外線で殺せる
・コケを抑制
・水質向上

殺菌灯は筒の中を通った水に対し、紫外線を照射して水中の菌を殺す機材です

よく白点病対策コケ対策で設置されます

我が家は元々殺菌灯無しではじめましたが、ナンヨウハギが白点病で☆になってしまってから付けています

付けたら絶対にかからないというわけではないですが、コケを抑制したり水の透明度が上がったりと、鑑賞性が上がったのでそれ以来ずっと付けています

他にも水槽管理を楽にしてくれたり、鑑賞性がUPする便利グッズがいっぱいあります

気になる方はコチラの記事で我が家が買って良かった物をまとめていますので、読んでみてください♪

おすすめ海水魚

本当にたくさんの種類の海水魚がいますが、初心者が気になるのは難易度だと思います

23種類の海水魚を1年飼育してきた我が家ですが、その中から初心者におすすめの種類と☆にしてしまった種類をご紹介します

初心者におすすめの3種

スズメダイの仲間でも小型のシリキルリスズメダイは、丈夫・安い・餌付けも簡単と三拍子揃っていて、青と黄色のカラーも綺麗なのでおすすめのお魚です

砂に潜って眠るというおもしろい習性のあるインディアンカナリーラスもおすすめです

黄色のお魚を入れると水槽が映えますし、この子は温厚な性格かついじめられても砂に潜って逃げられるので混泳で苦労しないです

我が家の2大優等生の1匹です

我が家の2大優等生のもう1匹プリンセスモノクルブリームです

性格がとても温厚でな上、丈夫で餌付けも簡単です

他にも我が家で飼育した23種を紹介している記事がありますので、気になる方はチェックしてみてください♪

我が家で☆にした種類

☆にした中でも特に初心者にはおすすめしない種類はコチラ

・ナンヨウハギ
・マンダリン
・アカネハナゴイ
・オトメハゼ

マンダリンは基本的に人工餌を食べないため、水槽内にヨコエビなどの餌が発生していない限り難しく、我が家では1週間で☆になりました

ナンヨウハギは白点病にかかりやすく、飼育した中では一番苦労しました

今は2代目を順調に飼育出来ていますので、白点病対策が出来ていれば初心者でも飼育可能です

アカネハナゴイは一番はじめに入れたお魚ですが、餌付けにとても苦労したのと飛び出し事故が頻発しましたので蓋必須です

オトメハゼに限らずベントスハゼは、砂を撒き散らしたり掘ったりしてレイアウトを壊しまくるので覚悟して購入しましょう